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「カレー」を通した食料自給率アップへの挑戦[Vol.2]

『食を通じて、家庭の幸せに役立つ』を企業理念として、カレーやシチュー、スパイス、デザート、スナック、ラーメンなど様々な商品を通じて消費者の「幸せ」をサポートしているハウス食品様。

10年以上前から独自で取り組んできた地産地消の推進。まだ企業の社会貢献といった言葉が今ほど一般的ではなかった時代から活動を続けて経験を積み重ね、地域と一体化した取組を全国で展開しています。

今回は「カレー」を通した食料自給率アップの取組の後編として、今年も7月11日より始まったTVCMと連動した各地域の素材を生かしたカレーメニューの提案キャンペーンについてご紹介します。

※本記事における人物写真は全て撮影のためマスクを外しています

今年も始まった「ハウス流」地産地消の取組

これまで大きな社会情勢の変化がありながらも、継続して進めてきた地域と一体となった地産地消の取組。今年も始まった各地域と連携した地産地消の取組について、食品事業一部の福澤氏に具体的な内容をお聞きしました。

ハウス食品株式会社 食品事業一部チームマネージャー
福澤 聡氏

【福澤氏 インタビュー内容】
今年はベースになるレシピとして、「夏野菜スタミナソテーカレー」を用意しました。このレシピをもとに、各地域の要望とも連動してエリアごとの旬の夏野菜をレシピに反映しています。併せて、知念侑李さん出演のバーモントカレーのCMで各エリアのカレーを紹介しています。
今年の夏も32件のオリジナルレシピを考案しました。旬の野菜をソテーしてトッピングすることで煮込み時間も短縮。簡単においしく旬の地元野菜をたくさん使っていただけたらと思います。ご提案したレシピはハウス食品ホームページで公開中です。是非一度チェックしてみてください。

https://housefoods.jp/recipe/chisanchisho/index.html

今回、鹿児島県ではオリジナルレシピとして「茶飯で食べる夏野菜スタミナソテーカレー」を作成しました。鹿児島県産の緑茶を葉ごと炊き込んだごはんでいただきます。鮮やかな緑が食欲をそそるそんなレシピになっています。
何故「お茶」なのか。近年の人々のお茶離れの状況や生産量全国2位の「か
ごしま茶」の現状を打破し、「お茶県・鹿児島」を盛り上げたいという思い
が込められています。
この取組について鹿児島県の塩田知事に報告を行うとともに、「茶飯で食べ
る夏野菜スタミナソテーカレー」をご試食いただきました。また、鹿児島県
と連携し、県庁内の食堂で、このご当地カレーを期間限定メニューとして提供していただきました。

茶飯で食べる夏野菜スタミナソテーカレー
鹿児島県塩田知事の試食の様子

そして、素材選定で協力いただくのは各地のJA様や地域の関係者の皆様。地域の皆さんに相談し情報を共有することで、その土地ならではの食材情報や生産量の把握などができ、無理のない食材の調達が可能となります。本当においしい野菜の調理方法や収穫・出荷の情報など、産地からお客様に届くまでの必要情報はメーカーだけではなかなか把握することは難しいのです。

昨今はコロナや社会情勢不安などの影響で食料の調達について関心も高いように思います。地産地消という考え方がますます大切になるという気付きがあり、まずその入り口としての、カレーを通じた地産地消の取組に賛同していただく自治体も多くあります。青森、岩手、広島、山口、徳島、高知、愛媛、佐賀、熊本、大分、鹿児島、沖縄の各県庁の皆様には地元生産者・農産物を応援するメッセージを県民の皆様に向けて発信していただいています。

それぞれの地域のカレーに地域の想いが詰まっています!

一歩先を行く青森県の取組

青森県とハウス食品様の連携の歴史は古く、フードアクションニッポンの立ち上がりより13年も継続しているそうです。この歴史の深い青森県との取組についてハウス食品東北支店の営業推進課の皆さんにお聞きしました。

ハウス食品東北支店のメンバー  

企画を継続する上での喜びと苦労はいろいろ・・・

【ハウス食品東北支店 インタビュー内容】
今回の青森県のメニューは特産品の長芋を使っています。長芋の皮をむかずにソテーすることで表面はカリっと中はシャキシャキとした長芋特有の食感が楽しめます。地元の方たちがご存知の美味しい食べ方、こういった工夫ができるのが地産地消メニューの楽しいところです。

継続するにあたり特に苦労することは、やはり素材が毎年似かよってしまうこと。夏野菜はある程度限られてしまいますが、そこに地元の方たちの推しの素材をプラスαすることがポイントです。もう一つ意識をしていることは、毎年一つ『新しい』を加えて、小さい事でも『常に進化をさせていく』ことが大切だと思っています。野菜素材の変化・カレーの調理方法等はもちろんですが、野菜だけでなく肉や米、地域で採れるもの全てを対象と考えるなど工夫を凝らしてオリジナルレシピを生み出してきました。

今年は「ニッポンフードシフト」の考え方を新たに支店で共有し、『旬の食材を味わう』をより強くアピールできるように活動しました。
毎年同じように見える企画かもしれませんが、チームが一丸となり意識統一を図り活動のモチベーションが上がるように、心がけています。自治体の皆様もJAの皆様も私たちメーカーも必ず人事異動があります。人が変わるたびこれまでの取組を振り返り、想いを共有する。地産地消の取組意義、想いをつなぐこと。このことが一番大切であり一番難しいんです。

青森県産野菜のスタミナソテーカレーと素材

野菜をたくさん摂れるレシピで「だし活+だす活」

【ハウス食品東北支店 インタビュー内容】
表敬訪問の際、青森県三村知事からは「野菜をたくさん摂れるカレーは大歓迎」と評価いただきました。
青森県庁の担当者にお伺いしたところ、青森県では、青森県県民健康・栄養調査の結果を受けて、減塩と野菜の摂取量を増やす啓発活動を実施しているそうです。
もともとは野菜を多く摂取していた県民の皆様でしたが、平成に入り全国平均を下回ることに・・・。この結果を受けて「一日の野菜摂取量350gを目指そう!」プログラムが始まったとのことです。平成28年の調査結果では県民の野菜摂取量は約300gにまで増えたとのこと。今では「あと50g」が合言葉になっているようです。現在は350gの達成を目指し、「ミニトマトなら5個」「きゅうりなら半分」「玉ねぎなら4分の1」など、「野菜の50g」をより分かりやすく伝えているそうです。また、県内の飲食店ではあと50gを啓発するポスターもあちらこちらで見かけます。本当に県が一体となったすごい取組だと思います。子どもから大人まで人気の「カレーライス」で野菜を多く取り込むことは青森県の取組にうまく合致しているようです。

さらに青森県では、豊富な農林水産物を活用しながら、地産地消と健康づくりを進めるおいしく元気な新しいアイデア「だし活+だす活」※に取り組んでいるそうです。
ハウス食品ではこれまで地産地消ということで生産者の皆さんや農産物を応援してきましたが、今後はこういった健康長寿といった視点も重要なテーマになると感じています。

※「だし活」・・・だしのうま味を活用しておいしく減塩を推進すること
 「だす活」・・・野菜に含まれるカリウムという栄養素が、体内の余分な塩分を外に出す働きを利用して、県産野菜をたくさん食べることによって塩分の摂り過ぎを防ごうという活動のこと

青森県民の野菜の摂取量の変化とキャンペーンポスター