ニッポンフードシフト公式note
全国発:「カレー」を通した食料自給率アップへの挑戦[前編]
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全国発:「カレー」を通した食料自給率アップへの挑戦[前編]

ニッポンフードシフト公式note

『食を通じて、家庭の幸せに役立つ』を企業理念として、カレーやシチュー、スパイス、デザート、スナック、ラーメンなど様々な商品を通じて消費者の「幸せ」をサポートしているハウス食品様。

10年以上前から独自で取り組んできた地産地消の推進。まだ企業の社会貢献といった言葉が今ほど一般的ではなかった時代から活動を続けて経験を積み重ね、地域と一体化した取組を全国で展開しています。

今回は「カレー」を通した食料自給率アップの取組の前編として、ハウス食品様が取組んでこられたこれまでの活動について、インタビュー内容を中心にご紹介します。

※本記事における人物写真は全て撮影のためマスクを外しています

「カレー」の会社が持つ課題意識

2009年に始めた地元農産物をおいしく手軽に消費できる地産地消の取組。これまで多くの企画に参加し、現在は現場をバックアップする立場の堀井志郎氏に「カレー」の会社が地産地消に取り組むようになったきっかけについてお聞きしました。

ハウス食品グループ本社株式会社 広報・IR部渉外課
堀井志郎氏

【堀井氏 インタビュー内容】
きっかけは国(農林水産省)から発信されたフードアクションニッポン(2008年から取り組む食料自給率向上に向けた国民運動)でした。この運動を知った弊社カレー事業の担当者が、『この考え方はカレーライスの持つ可能性を表現するのにぴったりの内容だ』と考え、「カレーアクションニッポン」と置き換え、その年の夏のプロモーション企画に落とし込んだのが始まりです。当時、私は仙台支店(現東北支店)で販売企画を担当していました。この社内での動きを聞いた時、すぐに自らの担当エリアで「カレーアクションみやぎ」を立ち上げ、宮城県産の農水産物を使ったカレーメニューを展開しようと思ったのです。国の課題である食料自給率のアップ、カレーライスのカロリーベースでの自給率の高さ、そして宮城県産の野菜(当時宮城県はパプリカの生産に力を入れており、現在生産量全国1位)、水産物(夏は宮城沖のイカが旬)、畜産品。これらを全て活用し、夏のカレーメニューを提案することが地産地消を考えるきっかけになるのではと、宮城県庁に持ちかけました。この頃から各自治体も地産地消に取り組み始めていましたので、私たちの提案はタイムリーだったようです。すぐに生産者団体(JA,漁協等の担当者)との打ち合わせに進み、ポーク、ビーフ、シーフード、野菜の地元産食材をメインにしたカレーメニューのレシピを作成し、仙台市内のホテルを借りて各生産者の皆様と発表会に漕ぎつけたのです。地元新聞社などのメディアも駆けつけ、記事化していただいたおかげで反響のある話題にはなりました。ただし、企業の活動として考えた時、結果として全てがうまくいったのかというと、この評価が難しい。まず、当時この取組が実売に結び付いたかと言われると必ずしもそうではありませんでした。さらに、事前の根回し不足から、食材を販売いただく小売業の皆様への説明やレシピをまとめた小冊子の数量が足りなかったり、ビーフカレーは仙台牛を使ったレシピにしましたが、スーパーマーケットの担当者の方からは『おいしそうだけど高くつくね、輸入ビーフで十分』、と一蹴されたこともいろいろな気付きを与えてくれたいい経験でした。

宮城県での地産地消の取組の経験をきっかけに、ここから少し調子に乗って東北全県で同じフレームで展開してしまおうと、各県庁に飛び込みでの提案も行いました。そして、私が仙台から異動した後、今でもこの活動は続いています。こういった活動を楽しんで実行する、そんな風土が弊社にはあります。

弊社が地産地消に取り組みはじめた10数年前は、『食料自給率を上げよう!』という掛け声に、世の中の反応もまちまちでした。地産地消という考え方についても、理解はしているけど、どのように取り組んだらいいのか、地域全体で戸惑っているような状況でした。メーカーが主導して動くと、どうしても販売促進プロモ―ションとして見られてしまいます。


地域の皆さんに共感性をもって一体となった継続的な活動を続けていくために自分たちはどのような考え方で、何をすべきか


弊社が地産地消の取組を開始してからこれまでずっと考え、挑み続けてきたテーマです。

宮城県産品を活用した新たなメニュー
(製品パッケージは当時のもの)

地域との一体化を目指した取組実績

地産地消を推進するために、地域の皆さんとの共感性を大切にしてきた様々な取組の成果についてお聞きしました。

1.地域一体となり取組んだカキシチューというメニュー[2007年宮城県]

【堀井氏 インタビュー内容】
牡蠣などの生鮮品はときに風評被害を受けることがあります。宮城県も牡蠣の有名な産地ですが、主に生食用の牡蠣を多く扱う宮城産牡蠣はいわれのない噂により買い控えが起こってしまったことがありました。そこで、2007年に弊社は、宮城県漁協に飛び込みで伺い、「牡蠣を使ったシチューをスーパーなどの量販店店頭で一緒に展開しませんか」と提案に行ったのです。産地の皆さんは本当に苦労されていたみたいで、この提案には大いに賛同してくださいました。さらに、漁協と太いパイプを持つ宮城県との連携も橋渡ししていただき、『食材大国みやぎ』のフレーズで地域全体での地元産品を応援する形になりました。そして、村井宮城県知事にも参加いただき、宮城県庁で宮城県関係者、宮城県漁協、ハウス食品が、地元関係者、流通事業者をお招きし、取組発表会を行いました。余談ですが、当時、カキシチューCMソングは宮城県庁の朝のBGMとしても活用いただきました。
『カキシチュー』は調理も簡単で、しかも美味しいと評判になり、その年は牡蠣の売り上げも回復、例年は年が明けると徐々に売り上げが下がる牡蠣でしたが、この年は好調な売り上げを維持できたようで販売面でも地域の皆さまに評価いただきました。

当時提案したメニュー:カキシチュー

2. 地産地消の取組の起点となったフードアクションニッポンへの参加

【堀井氏 インタビュー内容】
カレーは元気食的なイメージで暑い季節でもよく消費されています。弊社は毎年夏になると夏野菜を使ったカレーをスーパーなどの小売の皆様に提案していました。2009年にフードアクションニッポンを知った弊社のカレールウの販売企画担当者は、『ごはん、じゃがいも、玉ねぎ、にんじんが中心のカレーライスには日本の食料自給率を改善する大きな可能性がある。これまでメーカーのためのプロモーションだったものが、もっと大きな枠組みでの取組になる』と考えました。カレーライスは、日本の家庭では月に2~3回食べており、子どもも大好きな人気のあるメニュー。また、弊社の強みとしてCMも全国で流している。そこで、CMエリア別に地元の野菜を使ったカレーライスを訴求することで、日本各地での地産地消企画へと展開する取組を行いました。カレーを通して産地から消費者までをつなぐ、この全国規模での取組が今の弊社が行う地産地消の推進につながっています。

日本各地での地元の野菜を使用したカレーライス(2021年)

3. 全国各地で広がる「カレー」を通した地産地消

【堀井氏 インタビュー内容】
ご存じの通り、東北では2011年に震災があり、この年はさすがに、それまで続けてきた弊社の地産地消の取組は東北での展開中止を余儀なくされました。ここで一旦これまで積み上げてきた“流れ”が切れてしまいました。しかし、それでも再度継続してくださる自治体も多くあり、青森県や岩手県は知事にもご協力いただき、10年以上も続けて、県産野菜を使ったカレーを毎年夏に地域の皆様にご提案させていただいています。最近の取組では2021年に、茨城県で『さつまいもとぶなしめじのカレー』や『れんこんとトマトのハヤシ』を実際に大井川知事にご試食・コメントをいただきました。群馬県では、キャベツや県産ポークを使用した『カレーでググっと!ぐんまの美味しさキャンペーン』を展開しました。その他、広島県、徳島県など、ご協力いただく自治体も年々増えています。弊社が取組んできた地産地消の意義がSDGsの文脈と結び付き、活動を始めた当初より重みを増し、加速度的に広がっていることを実感しています。

2021年の茨城県、群馬県でのキャンペーンの様子

今後の「カレー」を通した地産地消の推進に向けた展開

これまで長年に渡って、地産地消の推進に真摯に取り組んでこられたハウス食品様。今後の「カレー」を通した地産地消の推進に向けた展望について、食品事業一部ビジネスユニットマネージャーの亀田浩司氏にお聞きしました。

ハウス食品株式会社 食品事業一部ビジネスユニットマネージャー
亀田浩司氏

【亀田氏 インタビュー内容】
これまで大きな社会情勢の変化がありながらも、継続して地域と一体となった地産地消の取組を進めてくることができました。今年も、例年以上に各地の素材を生かしたカレーライスのご提案を実施していく予定です。

現在、各地の素材を生かしたレシピを弊社ホームページで公開するための準備を行っており、2022年7月中旬には公開します。是非、皆さまのお住まいの地域のカレーをチェックしてみてください。今年はベースになるレシピとして、「夏野菜スタミナソテーカレー」をご用意しています。このレシピをもとに、各地域の要望とも連動してエリアごとの旬の夏野菜をレシピに反映しています。併せて、今年の夏も、32件のオリジナルレシピを考案し、各地で地方自治体やJA様との取り組みを推進します。

今年の夏は、地産地消というキーワードで活動を進めていますが、カレーライスの持つ可能性はまだまだあると思っております。
環境や健康、食品ロスに焦点を当てた提案や、コロナ禍で内食需要が伸びていることを受け、よりご家庭でカレーを楽しんでいただけるような仕掛けを行っていければと考えています。

『食から日本を考える。ニッポンフードシフト』をきっかけに、これまで以上にいろいろな方たちと協業して日本の食を盛り上げることができればいいなと思っています。

2022年7月開始キャンペーン「旬を楽しめ!バーモント!」イメージ


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