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自然の力を引き出し、『草と共に生きる』社会づくり[Vol.2]

農業や緑地管理分野において、卓越したアイデアとそれをカタチにする技術力で、「Originality」溢れる業界初製品の開発を続けてきた株式会社オーレックホールディングス様。

新しい価値を持った農業機械の開発のみならず、さらなる農業発展に貢献する新規事業の創造にも取組み、農家の方の支援も長きに渡り、継続して推進されています。

今回はニッポンフードシフト推進パートナーの70年以上続く『草と共に生きる』取組の第2弾として、農家の方の要望に応えるべく、長年に渡り水田除草機の製品化に携わってきた社員の開発業務や製品への思いを紹介します。

農家の方の課題解決のために始めた水田除草機の開発

「世の中に役立つものを誰よりも先に創る」という会社の信条のもと「水田除草機」の開発担当をされてきた鈴木祥一氏に、開発経緯や製品に対する思いについてお聞きしました。

株式会社オーレックR&D 
開発部 有機支援グループ 係長
鈴木祥一氏

【鈴木氏 インタビュー内容】
水田除草機は一般の方には馴染みのない機械だと思いますが、稲の成長を阻害する水田の雑草を除去する農業機械です。開発する上で一番課題となったのは、いかに稲を傷めず、雑草だけを取り除くかということです。

水田除草は昔は手取り作業と手押し式の機械で行っていました。その後、エンジンを搭載した歩行型水田除草機や、乗用型の水田除草機が開発されてきました。一方で、除草剤の開発・普及も進みました。水田除草機等よりも手軽で効果も高い為、水稲栽培における雑草対策としてはこちらが主流になっています。このような状況ですが、より除草性能の高い水田除草機を開発し、生産者の除草手段の選択肢が増えるよう研究開発を続けてきました。

当社が水田除草機の開発に至った経緯は、当社社長の「安全・安心な農産物づくりに貢献したい」という強い意志からです。昨今消費者の有機農産物(オーガニック)へのニーズが高まっており、水田除草機の需要も増えてきていると感じています。当社の水田除草機は400~500万円と高額ではありますが、除草性能を高く評価していただいており、販売台数も増えてきています。現在はまだまだ、有機取組面積の割合は少ないですが、水田除草機を通して有機取組面積が少しでも増えて欲しいと思っています。

長年に渡る「草」との格闘と全社の支えで達成した製品化

開発に14年もの長い期間を掛けて、製品化までたどり着いた水田除草機。鈴木祥一氏にこれまでの苦労や達成に至った要因についてお聞きしました。

1.「草」という自然を相手にした製品開発の難しさ

【鈴木氏 インタビュー内容】
水田除草機の開発に携わる中で感じたことは、水田を相手にする事は予想以上に難しいということです。開発中は、除草テストを行い、問題を見つけて改良を繰り返します。改良を施すためにじっくり時間を掛けていると、その間3日もすれば稲が成長して条件が変わってしまう場合もあり、同条件でのテストが再現できず、なかなか良し悪しが判りません。従って、テストを行う際にはしっかりと計画を立て、想定されるあらゆる問題に対する準備を行い短時間で改良出来るようにして取り組みました。A案、B案、B´案といった感じです。それでも実際テストをすると想定外の事ばかりで失敗の連続です。つくづく机上の想定と実作業での現象は違うと感じました。シーズン中はテスト翌日の午前中に急いで改良し午後にテスト、また翌日の午前中に改良してテスト・・・という繰り返しの時もよくありました。また、より多くのテストを行う事と、全国の水田の条件に合った製品にする為、全国各地の生産者に協力いただき製品開発を続けました。5、6月は全国各地でテスト、7月は地元福岡でテストというスケジュールです。その為、6月が終わる頃はすでにメンバー全員が真っ黒に日焼けをしていました。年を追うごとにテスト件数が増え大変ではありましたが、多くの生産者の御協力のおかげで徐々に性能は良くなっていきました。

水田除草機のテスト風景

【鈴木氏 インタビュー内容】
開発初年度は会社の敷地で水田を作ってテストしましたが、その後、生産者や全国の営業所を通じてトータルで約50軒の生産者の方に協力をいただきました。テストに協力いただいている方から「なんとかより良い水田除草機を作って欲しい」と言われていたこともあり、開発担当として必ずやり遂げたい思いでした。開発プロセスの中で生産者の方の声を直接聴けたことが、製品化まで諦めずにたどり着けた大きな要因になっていると思います。

開発チームのメンバー

2.社長や上司の期待・理解に支えられて

【鈴木氏 インタビュー内容】
開発当初は製品化は簡単ではないと感じていましたが、これほどまで長くなるとは誰も思っていませんでした。しかし、担当メンバーは誰も途中で諦めることなく、社長はじめ会社全体で最後まで執着心をもって製品化に漕ぎ着けることができたと思っています。自分自身の目指すべき方向を明確にできたことと同時に、製品に対する期待を感じることができ、開発完遂に向けた大きな動機付けになったと思っています。そして長い開発期間中も、社長はじめ上司には自主性の尊重や新しい事にチャレンジできる環境を与えていただき、適時アドバイスをもらえたからこそ諦めずに製品化できたと感じています。

開発会議の様子

有機取組面積の数をもっと増やせるように

水田除草機の担当として、また開発者として、今後オーレック社で貢献・実現したいことについてお聞きしました。

水田除草機の開発に取組む鈴木氏

【鈴木氏 インタビュー内容】
今後は、水田除草機を全国的に広めて、有機取組面積を増やしていく事が使命だと感じています。有機取組面積の数が増えれば、有機農産物をはじめ関連するマーケット全体を活性化することができると考えています。

当社水田除草機の今後の方向性としては、コストダウンは当然のことながら、製品について様々なご要望をいただいているため、例えば他の作業にも使える機能を付加するなど、本体のベースを活用した新たな可能性も模索していきたいと考えています。


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