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地域に寄り添う持続可能な未来に向けた取組[Vol.2]

「お客様の暮らしを楽しく、心を豊かに、未来を元気にする楽しさNo.1百貨店」をビジョンに掲げ、関西を中心に百貨店事業を展開されている阪急阪神百貨店様。

これからの時代に向けて、「地域の絆を深める」「地域の子どもたちを育む」「豊かな地域の自然を守り、引き継ぐ」という重点テーマを掲げ、サステナビリティ経営に取組まれています。

今回はニッポンフードシフト推進パートナーの、生産者と消費者を繋ぐ売場「Hankyu PLATFARM MARKET」を運営されている若い社員の業務、食や農への取組・想いなどを紹介します。


これまでの経緯と食に関する業務

生産者とお客様をつなぎ、作り手自慢のおいしいものと、その背景にある物語を伝える発信地としてスタートした「Hankyu PLATFARM MARKET」。この売場を運営する、細見圭祐氏、加藤由佳氏に、入社の経緯、現在の業務、食や農に対する想いなどについてお聞きしました。

阪急阪神百貨店第1店舗グループフード新規事業開発部
プラットファーム事業 計画・サプライヤー管理担当
細見 圭祐氏

【細見氏 インタビュー内容】
大学では商学部でコーポレートファイナンスを専攻していました。企業活動を支えるファイナンスを活用してステークホルダーの方々と価値創造をしながらも、事業を起こす事を学びたいと思い就職活動を行っていました。金融、メーカー、小売の業界に魅力を感じておりましたが、お客様との接点が得られ、直接商品を届けられる百貨店に魅力を感じたことと、昔TVで見た百貨店のバイヤーに憧れを持っていたことが決め手になり、当社に入社いたしました。
入社してからは元々興味のあった食に携わる業務を希望し、北花田阪急に配属されました。そこでは、支店ならではの地域の方との繋がりを感じながら業務を行ってきました。その後阪急うめだ本店に移り、食品売り場を担当しています。その中で、2019年10月から「Hankyu PLATFARM MARKET」に携わり、フード新規事業開発部に移った後は、主体的に本事業を推進する担当になりました。現在は、阪急うめだ本店の地下二階にある常設売場の店長として、仕入れから販売まで携わっています。

阪急阪神百貨店第1店舗グループフード新規事業開発部
プラットファーム事業 メディア・プロモーション担当
加藤 由佳氏

【加藤氏 インタビュー内容】
大学で経済学部経済学科を専攻し、統計学のゼミに所属しておりました。就職活動では、人々の生活には欠かせない、衣食住のどれかには関わりたいと活動してきましたが、衣食住全てに関わることができるのは百貨店であると思った事、そして昔から馴染みがある百貨店で働きたいという思いから入社に至りました。

入社後の研修を通して、お客様に一番提供したいと感じたのが食品であったため、フード販売部への配属を希望しました。阪急うめだ本店地下二階のグロッサリー売場で4年弱働き、販売業務、店頭の在庫管理、そしてブログの発信などを行っていました。4年目から営業企画部で隔月に出すフード情報誌や他の媒体業務、SNS業務を行い、昨年度の4月からはフード新規事業開発部に移り「Hankyu PLATFARM MARKET」のPRやギフトカタログを担当しています。

生産者とお客様をつなぐ「Hankyu PLATFARM MARKET」

お二人が業務をされている中で、印象に残っている「Hankyu PLATFARM MARKET」の取組についてお聞きしました。

1.生産者の物語を伝えるギフトカタログ

【加藤氏 インタビュー内容】
「Hankyu PLATFARM MARKET」は阪急うめだ本店の地下二階の活性化、生産者と消費者がコミュニケ―ションを取れるリアル店舗の在り方を考える中で、海外のファーマーズマーケットを参考に月に一度、5日間の期間限定で始まりました。出店する生産者にも好評でしたが、5日間では短いという意見があり、 2022年1月には常設店舗を構えました。美味しいだけでなくお客様に生産者の想いやストーリーを伝える場として、ポップアップ、『フードプレス』、Instagramなどで情報発信しています。(現在フードプレスは休刊しており、デジタル上での媒体を企画しています)現在までに、五島列島、北海道十勝、高知県嶺北地域、青森県八戸、宮崎県、山形県鶴岡市など全国各地の約130の生産者と連携しています。

店舗での販売の他に、「Hankyu PLATFARM MARKET」の“ギフトカタログ”を展開しています。ここでは、お客様に生産者の物語を読んで購入してもらうことを意識しており、他の百貨店で取組んでいないギフトカタログです。生産者の取組を深く消費者に知ってもらうきっかけになるため、嬉しいことに生産者の方からギフトカタログに載りたいとおっしゃっていただくこともあります。そのため、生産者の方々との繋がるための重要な取組と考えています。このギフトカタログをはじめ、生産者の繋がりやInstagram等を通じて、徐々に「Hankyu PLATFARM MARKET」の認知が広がっていると感じています。

「Hankyu PLATFARM MARKET」ギフトカタログ

2. 商品タイアップによる地域貢献

【細見氏 インタビュー内容】
私の地元である丹波篠山市にある社会人向けの篠山イノベーターズスクールと、地域の加工特産品をつくる講座を共同運営し、「Hankyu PLATFARM MARKET」で販売する商品の企画を行いました。単に美味しいだけでなく、その地域ならではのストーリーなどを踏まえた商品開発です。例えば、規格外の黒豆と地域でとれるものを使った黒豆辣油を企画し、商品化に至りました。これまで大手食品メーカーとのタイアップ等はありましたが、地域の生産者の方々とタイアップするというのは「Hankyu PLATFARM MARKET」ならではの取組です。地域の魅力を改めて確認でき、また地域に貢献する仕事ができたことで大変やりがいを感じました。

規格外の黒豆と地域の食材を使用した「黒豆辣油」

他にも、新品種の赤くて甘いスイートコーンの「大和ルージュ」の販売では、奈良の生産者と植え付けから収穫まで一緒に取り組んだ事は印象に残っています。見た目のインパクトもありますが、その美味しさに感動し、この素晴らしい食材をお客様に紹介できることに喜びを感じました。販売すると毎回完売で、次回の入荷を持ち望む方が多数いらっしゃいます。『フードプレス』にも掲載し、今年で2年目になりますが、販売と情報発信を継続していきたい取組の一つです。

新品種スイートコーン「大和ルージュ」

食に関わる社員のフードシフトな取組について

食に関する業務を行うようになってから、変化した食や農に対する想いや考え方についてお聞きしました。

1.生産者を通して深まった農業への興味

【細見氏 インタビュー内容】
生産者の方々とお話する中で、毎日当たり前に食べているものが、こんなにも多くの苦労があって成り立っている事を実感しました。また、産地で様々な知らない事に気づくことができました。天候に左右される大変な仕事にも関わらず、消費者に届けるために、皆さん前向きに楽しそうに仕事をされているのがとても印象的です。そのような姿勢を見て、少しでも生産者の方々の一助になればと思い、「Hankyu PLATFARM MARKET」での取り組みに一層力を入れています。そして、自分自身への刺激にもなり、モノづくりや農業への興味が非常に深まっています。農業が盛んである私の地元に対する見方も変わり、機会があれば自分でも趣味の農業を始めたいと思うようになりました。

産地訪問の様子

2. 産地へのこだわり

【加藤氏 インタビュー内容】
生産者への取材を通して、皆さんが生き生きと仕事をされ、農業やモノづくりを未来に残していきたい仕事であると誇りを持たれている姿を見て、大変刺激を受けました。私自身の世界観が広がり、また仕事へのモチベーションにも繋がっています。業務で食品に携わるようになったことで、野菜などの生産地をよく見るようになりました。特に、スーパーでは生産者の顔が見える野菜をできるだけ買いたいと思うようになり、必ず産地情報を確認しています。価格的には高くなってしまいますが、特に生で食べる野菜などはできるだけ生産者の顔が見える商品を選ぶようになりました。

「Hankyu PLATFARM MARKET」の野菜売り場

今後の実現したいことや想い

「Hankyu PLATFARM MARKET」を通じて今後実現したいこと、また若い方達へのメッセージについてお聞きしました。

【細見氏 インタビュー内容】
リアルな売場や紙のカタログのみでは広がりに限度があるので、今後はデジタルを活用した新しい領域へのチャレンジもしていきたいと考えています。具体的には生産者とお客様が繋がることのできるプラットフォームをデジタル上につくるようなことを企画しています。

農業や食のモノづくりに興味を持っている若い方々が増えてきていると実感しています。一方で、全体的には生産者の平均年齢は上がっているため、更に多くの若い方が食や農に興味を持ち、日本の食・農の未来を変えていくきっかけを作っていきたいと思っています。

様々な年代の方々が農業に携わっている様子

【加藤氏 インタビュー内容】
生産者の中には、デジタルを活用した情報発信に苦手意識を持たれている方々がいらっしゃいます。「Hankyu PLATFARM MARKET」ではそんな方々の代弁者として、情報を発信できるように努めていきたいです。私自身も学生時代は食や農は自分に関係ないものと考えていましたが、年齢を重ねてくると身近なものに変わってきたと感じています。実際に農業に携わっているわけではないですが、食材に対する選択肢が増えたことにより、関心度が増したと感じています。そのため、若い方々にも、食材やメニューなどの様々な選択肢を自分で作り、興味を持つ機会を作っていただきたいと思います。

「Hankyu PLATFARM MARKET」で販売されている商品イメージ

阪急プラットファームマーケット 公式Instagram