ニッポンフードシフト公式note
広島県大崎上島町発:持続可能な国産レモン栽培への挑戦
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広島県大崎上島町発:持続可能な国産レモン栽培への挑戦

ニッポンフードシフト公式note

社会に求められる『レモンの会社』を目指すポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社。

生産者への理解の深化と地域とのつながり、レモンの価値向上を目指してスタートした広島県大崎上島町での国内レモン栽培。これまでレモンのリーディングカンパニーとして様々な製品を開発・販売してきた企業が、これまで携わってこなかった川上の一次産業に挑戦。2026年までに日本のレモン総需要2倍を目指し、同時にレモンの企業としてのブランディングを強化する取組を推進。

今回はニッポンフードシフト推進パートナーの国産レモンの栽培を通じた「地域共創」の取組について、インタビュー内容を中心にご紹介します。

順風満帆ではなかった国産レモン栽培のスタート

2019年から会社をあげて開始した国産レモン生産の栽培。本事業の責任者である土屋淳一氏。取組開始当初のご苦労についてお聞きしました。

ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 レモン・プランツミルク事業
本部オールレモン事業部 国内産地形成グループリーダー
土屋淳一氏

【土屋氏 インタビュー内容】
広島県大崎上島町で栽培を開始するにあたり、様々な困難や課題がありました。まずは地域の生産者や住民の方々とコミュニケーションを図り、情報交換を行いました。外部から飛び込んできた企業が地域で生産基盤をつくるには、皆様から信頼を得ることがはじめの一歩と考え、常に本気で取組む姿勢を見せ、強い意思を継続して示せるよう努力しました。

農業に関してはまったくの素人でしたので、地域の方々のアドバイスを頂きながら耕作放棄地になりかけた農地を借りて、レモンの栽培管理を基本的なことから1年間学び、ゼロから始める準備をしました。東京から行き来する体力的な負担は大変でしたが、中長期的に弊社のレモン事業に組み込んでいくためには、自分達で一連の作業をやりきることが重要と考えました。例えば、農地の整備のために盛土から肥料等を入れて土づくりをゼロから始め、ユンボの免許を取得して自分で動かして土づくりを行うなど、大変な苦労を伴いました。

農地管理に関する日々の心配も絶えませんでした。例えば雨によって農地の土が崩れた際は、東京から急いで広島へ飛行機で飛び、隣接する農地の地権者に謝り、崩れた箇所をコンクリートで固めたりなどの対応が必要となり、日々の管理には心を砕きました。

広島県大崎上島
耕作放棄地での農園整備作業
事業スタート時の自社レモン農園

国産レモンの栽培は必要?

現在、日本のレモンの消費量は約5万t、その内輸入は4.2万t、国内レモンは0.8万t。レモンのニーズが高まる中で、圧倒的に海外に依存しているレモンの生産。様々な苦難に立ち向かい、敢えて国内でレモンの生産を拡大する意味についてお聞きしました。

ポッカレモン販売(実績)推移
[ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社]

【土屋氏 インタビュー内容】
国産レモンを安定的に生産するには7~8年は掛かり、レモン事業に組み込むまでに長い時間が必要です。現在取組んでいるような短期的な視点と、中長期の将来像のつながりが見えにくい点は課題となっています。ものを作って終わりではなく、事業として成り立たせる事に加えて、生産振興、地域振興まで繋げるためには、放棄地への対策やパートナーとの取組など、やるべきことはこれからも多くあります。

国産を増やしていく事で、地域の活性化や一次産業の価値を上げることができ、会社として単なる生産事業ではなく、社会的価値のあるプロジェクトとなります。従来、企業の中では、社会的価値を高めるための予算配分には合意形成に大変な苦労がありました。昨今ようやくどの会社でも食に関する社会的価値を謳うようになり、企業内でのアプローチも変わりつつあると感じています。最終的には社会的価値や人の幸福を高める事業であれば継続すべき事であり、利益と社会的価値の両面を求めることは必然です。食に関する社会的価値を求める機運が高まっており、様々な企業が”シフト”していると考えています。

弊社ではこれまで川上(生産)を手掛けていなかったため、そこが弱点でもありました。レモンのサプライチェーンを一気通貫で担う企業となれば、レモンの可能性をより広げられると考えています。そして、弊社の事業のみ拡大するのではなく、日本の需要全体を拡大できるよう推進したいと考えています。

国内産地グループは、食を通じて豊かな社会の在り方を示すために、レモンを通じて持続可能な社会をデザインすることを目指す「Good Lemon Sustainability」を掲げています。柑橘栽培の歴史あるこの土地は高齢化が進み、少しづつ失われているため、農業や農家を元気にすることで、地域社会を元気にしていきたいです。

大崎上島サテライトオフィス内での会議

一歩ずつ、結実する成果とレモンの広がり

自社農園で国産レモンの生産を開始して以降、多くの苦労があった本プロジェクト。しかし、今では多くの人を巻き込みながら着実に成果がでているそうです。様々な取組成果についてお聞きしました。

1. 広島県とのパートナーシップの締結

【土屋氏 インタビュー内容】
2013年2月に、国産レモン生産量の約6割を占める広島県とパートナーシップ協定を締結しました。広島県はレモンの生産拡大に積極的で、近い将来、県内だけで1万tの生産を目標としています。そこで、瀬戸内海に浮かぶレモンの一大産地である広島県の大崎上島町との包括協定を締結しており、地元のレモン農家との交流や情報交換を進め、本プロジェクトの開始に至りました。国産レモンの生産振興を主目的として、地域に寄り添った事業活動の体制を構築できました。

大崎上島初収穫セレモニー

2. レモンの「健康機能」価値の発信

【土屋氏 インタビュー内容】
レモンの「健康機能」の価値について広く発信することで、皆様の健康に寄与した取組になっていると感じています。レモンのクエン酸含有量は、果物の中でトップクラスであり、みかんの約6倍、りんごの300倍です。クエン酸には、カルシウムを溶けやすい形に変える力があり、骨の健康に効果が期待できます。また、酸味が料理の塩味を感じやすくするため、レモン果汁を調味料として加えることで減塩につながります。さらに、クエン酸を継続して摂取することで、疲労感を軽減する機能があることが分かっており、人々の健康に大きく寄与する食べ物なんです。

レモンのクエン酸含有量

3. レモンメニューコンテスト

【土屋氏 インタビュー内容】
大崎上島町との取組深耕を目的とし、町民からおすすめのメニューを募る「レモンメニューコンテスト」を行い、全国に発信しています。毎回テーマを決めて展開し、大崎上島町とポッカサッポロレモンマイスターがメニューを選定しています。地域の方々との連携による定期的なイベント開催も成果の一つです。

レモンメニューコンテスト 審査会

4. レモンの長期摂取試験の実施

【土屋氏 インタビュー内容】
日常的にレモンを摂取することの健康機能価値を明らかにするため、レモンの長期摂取試験(5年間レモンを取り続け健康状態を測る研究)として疫学調査を行っています。大崎上島町、地元の県立広島大学、ポッカサッポロ、および住民の方々がボランティアで参加して、産官学連携で推進しています。実際に骨密度、疲労感、血圧において良い結果が見られています。

「レモンで健康実現隊」 健康診断

『レモンのブランディング』を目指して

ようやく軌道に乗り始めた自社での国産レモン栽培。レモンの会社として、この取組を起点として、さらなる発展を目指し、今後も長期的な視点で事業を進めていくそうです。今後の展望についてお聞きしました。

レモン製品とレモンを使ったイチ推しメニュー

【土屋氏 インタビュー内容】
現在はレモン製品のブランディングに留まっていますが、将来的にはトータルでレモンを扱う企業として認知されるようにブランディングをしていきたいです。これまでは携われなかった原料生産まで含めて、ポッカサッポロにレモンの全てを任せてもらえるような企業に”シフト”していくことを目指しています。今後もレモンに対する使命感をもって世の中に発信し続けていきます。

様々な環境変化に応じて、事業やブランドの考え方も変わってきています。現状、社内でも共通した明確な最終アウトプットのイメージはこれからですが、ポッカサッポロ全体としてレモンをブランディングしていく方向性をもちながら、アウトプットを皆で検討しているところです。

農業の課題に対しても、その地域での生産活動を通して盛り上げていく事が 解決につながると考えています。地域が盛り上がれば、人が集まり、産業も発展し、地域振興につながっていきます。根本的には生産者に根差した地域の活性化や生産・一次産業の価値を上げていくことが社会的価値に繋がり、それを実証できるような一つのモデルケースにしたいと考えています。

現在の自社レモン農園
自社レモン農園での収穫
自社レモン農園でのレモン

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