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日本の食料生産を支える岩手県の地産地消の取組

世界三大漁場の一つである三陸沖に面し、貴重な天然資源の宝庫である岩手県。その恵まれた漁場環境を活かした良質な水産物に恵まれ、また内陸部では広大な農地や寒暖差の大きい気候、標高の高い土地など、地域特性を活かした多彩な農業を展開し、日本の食料供給基地としての役割を担っています。

岩手県庁では、地元の農水産物の消費・認知の拡大に向けて、企業と継続的な連携を行うなど、積極的なアピール活動に取組まれておられます。

今回はニッポンフードシフト推進パートナーと連携されている岩手県庁流通課の地産地消を推進する取組についてご紹介します。


農林水産資源に恵まれた岩手県

地域の多彩な農林水産物を活用した6次産業化を推進するとともに、品質やおいしさ等にこだわった県産農林水産物を積極的にPRし、ブランド化と国内外への販路拡大に取組む岩手県庁様。今回は、農林水産部流通課の菅原 伴和氏に、岩手県の特徴、食や農に関する取組についてお聞きしました。

岩手県農林水産部流通課
菅原 伴和氏

【菅原氏 インタビュー内容】
岩手県は、北海道に次いで日本で2番目に広い県土を持ち、また冷涼な気候や静穏海域などの気象条件を活かしながら、多彩な農林水産物を生産しています。農業に関しては、米、野菜、果実、花などの栽培や畜産が盛んで、林業では木材、木炭、漆の生産が盛んです。県に面する三陸沖は、黒潮と親潮が複雑に交わる世界三大漁場の一つと言われており、サケ、ウニ、アワビの漁業やわかめ、ホタテ、牡蠣などの養殖が盛んに行われています。全てが特産品で、多数の農林水産物において全国有数の産地となっています。

岩手県庁では、豊かな農林水産物を活かし、様々な県産品を組み合わせた展開の支援や、付加価値を高めるための6次産業化の推進に向けて、事業者への多面的支援を行っています。例えば、宮守川上流生産組合における、果実の加工施設整備に対する支援もその一つです。同組合は中山間地域にあり、元々は米や野菜、果実、どぶろくを生産していましたが、加工施設を整備し、自社の農産物加工のほか、県内生産者の農産物を受託加工する体制を整え、地域活性化につながった良い取組です。

宮守川上流生産組合の製品

岩手県庁では、農林漁業に携わる方々の所得を上げることをミッションとしており、日々様々な相談を受けております。生産者の方々のそれぞれを状況や事業のフェーズに合わせて、アドバイザーや民間企業との連携ができるよう、取組んでいます。

そのためには、厳しい環境の中で働く生産者の皆様を支えられるように、私たちが生産者のニーズを丁寧に把握し、可能な限り力になれるよう柔軟な対応を心掛けています。限られたリソースの中での活動は大変ではありますが、県庁内での連携も図り、協力しながら生産者の支援を進めています。少しでも多くの生産者が、所得向上を実感できる取組に繋がれば嬉しい限りです。

生産者への支援

県産品の特徴を生かした地産地消の促進

岩手県産品の認知拡大、消費拡大に向けた取組についてお聞きしました。

1.地元食材であることを伝える地産地消ロゴマーク

【インタビュー内容】
岩手県庁では、地産地消を促進に向けて「いわての食財」というロゴマークを作り、生産者、事業者の皆様に利用いただいています。具体的には、県産の食材を使った商品や農産物等にこのロゴマークを使ってもらい、県産食材を選んでもらえるような機運の醸成を図っています。また県外でも岩手県産の食材を広めるために、スーパーやコンビニにおける岩手フェア等で活用いただくこともあります。

この取組自体は、地産地消を促進するために平成10年代に開始しました。民間事業者と連携しながら、長期にわたって継続してきた取組です。事業者からは、県のPRキャラクター「わんこきょうだい」とともに、効果的PRツールであると高く評価をいただいています。

県内では、ロゴマークの認知度は高く、地産地消の考えがかなり浸透してきていると考えています。今後も事業者との連携等を通して、さらに地産地消を推進していきたいです。

「いわての食財」ロゴマーク

2.岩手県産食材の魅力を引き出すカレー

【インタビュー内容】
地産地消の取組の一環として、ハウス食品様が展開するカレーキャンペーンに岩手県としても参加しています。ハウス食品様とは、平成21年の丑年に、牛に関連する事業を推進する「 ”黄金の國、いわて。” MOW MOW(モーモー)プロジェクト」でご一緒したことをきっかけに、継続的に連携をしています。このプロジェクトでは、11月23日の牡蠣の日にあわせて、牡蠣チャウダーのキャンペーンを岩手県漁連様、ハウス食品様、県内のスーパーと一緒に推進しました。次年度からは、カレーキャンペーンでの取組を共同で実施しており、約14年ほど前からカレーをテーマにした連携を実施しています。
企業との連携では、企業の商品企画力や発信力に感銘を受けるだけでなく、自治体単独で食材をPRするだけでは得られない、認知度や信頼性は大変魅力的です。その観点からも、ハウス食品様との連携は非常にありがたい取組となっています。

牡蠣チャウダー

カレーキャンペーンでは、岩手県産の夏野菜であるトマト、ズッキーニ、トウモロコシや、いわて牛、豚、鶏などを使ったレシピーで食材をアピールしています。また岩手県のブランド米でもある、まろやかで適度な粘り気のある「銀河のしずく」を使っている点も特徴です。様々な食材の中で、カレーに欠かせない食材といえばやはり米であり、米を主要農産物とする岩手県にとってカレーは親和性が高いメニューだと感じています。そのことに加え、岩手県ではカレーの食材のうち、カレー粉以外の全ての食材を賄えることができる、という点もこの取組が長く継続している要因です。10年以上継続できているということを踏まえると、多くの方から好評をいただいている取組なのではと感じており、今後も地産地消の推進に向けて、継続・拡大していきたいと考えています。

今年のカレーキャンペーンでのレシピ「岩手県産彩り野菜のキーマカレー」

県外や海外に向けた県産品の拡大

食や農に関して、今後の岩手県庁の展望をお聞きしました。

カナダでの県産食材のPR

【インタビュー内容】
岩手県は日本の食料供給基地として、日本の食を支えるために生産から販売に携わってまいりました。最近では、国内だけでなく、アジア、北米地域を中心に米、りんご、牛肉などを重点品目として海外への販路拡大に取り組んでいます。昨年度はカナダでトップセールスを行うなど、さらにその取組を進めていきたいと考えています。

ハウス食品様とのカレーキャンペーンにおける連携については、9月23日・24日に開催されるNIPPON FOOD SHIFT FES.東京 2023でハウス食品様がカレーキャンペーンの活動紹介をされる際に、参加する自治体として応援メッセージをお送りしています。これからも様々な民間企業・団体との連携を実践し、地産地消の取組を推進していきたいです。

今後も、私たち自慢の岩手県の食材を岩手県内外、海外に届けられるよう、民間企業・団体との連携も効果的に活用しながら取組んでまいります。その結果として、岩手県産食材一つ一つの良さが伝わり、販路の拡大につなげることができるよう努めていきたいです。


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