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一粒のコーヒーからはじまる持続可能な世界の輪[Vol.3]

1957年の創業以来、「コーヒーを、どこまでも。」を企業理念に、コーヒー豆の選定から商品の販売までコーヒー一筋で展開してきた三本珈琲株式会社様。

おいしさと安全品質を追求したコーヒーから、関わるすべてのひとにちょっとした幸せを届けるために、食品ロスの削減やコーヒー豆の副産物を有効活用した製品の開発等、持続的な世界を一粒のコーヒーから創出する取組に尽力されています。

今回はニッポンフードシフト推進パートナーの取組の第3弾として、店舗運営のサポートや営業を担当する若い社員の今の業務や生活でのフードシフトな取組をご紹介します。


これまでの経緯や食や農への取組・想い

店舗の運営サポート業務に携わる店舗事業部 藤井 梓氏と、業務用商品の営業を担当する営業1課 黒川 貴旭氏に、入社の経緯、現在の業務や、食や農に対する想いについてお伺いしました。

三本珈琲株式会社
店舗事業部
藤井 梓氏

【インタビュー内容】
(藤井氏)
学生時代は商学部経営学科を専攻し、いずれ自分の好きな飲食やコーヒーの事業をしたいと考えて経営学を中心に勉強していました。大学入学前から飲食業に興味を持っており、大学の4年間は飲食に関わるアルバイトを行ったことで、より食に携わりたいという思いが強くなりました。そして、就職活動も飲食に関わる業種を中心に行い、生まれ育った横浜にある当社に縁があり、入社に至りました。

現在は直営店の店舗開発をする店舗事業部に所属し、直営店の運営サポートやSNSでの広報担当をしております。入社後2年間は店舗スタッフとして働いていましたが、コロナ禍真っ只中で、想像していた飲食業のイメージとは違い、とても不安でした。その頃に新店舗のオープンに、オープニングスタッフとして携わりましたが、お客様は沢山来て欲しいものの、安心してご来店いただける運営をどのようにしていくか、とても苦労しました。現在の店舗事業部本部に異動した後は、新店舗がオープンする際の運営サポートや、既存店の運営サポートを主に担当しています。将来的には、ゼロから新店舗の開発を担当できることを目指して、日々業務と格闘しています。

店内でハンドドリップコーヒーを淹れる様子

入社前から食べることやコーヒーを飲むことは好きでしたが、お客様へ提供する食材管理の基礎を一から学び、その大変さは日々実感しています。また、コーヒーの提供だけでお客様を100%満足させることはとても難しいです。お客様のニーズに合わせて、コーヒーの香りとフードの組み合わせを考えるため、常日頃からにアンテナを張るようになったのは、学生の時からの大きな違いです。入社後、食関連の業務に携わることで、学生時代から食に関する意識も大きく変化したと感じています。

三本珈琲株式会社
営業1課
黒川 貴旭氏

(黒川氏)
学生時代は総合政策学部で幅広く社会学を学びました。就職活動では、初め漠然としたイメージしか持っていませんでしたが、企業説明会に参加していく中で、事業や人に対する姿勢が最も印象的であった当社に入社したいという思いが強くなりました。学生時代からコーヒーを飲む時間が大好きだったこともあり、コーヒーを扱う当社を身近に感じたことも決め手になりました。

現在は営業職で、学生時代に培った人とのコミュニケーション力を生かしながら業務に取組んでいます。学生時代、社会や地域に貢献することにとてもやりがいを感じて、ボランティア活動に参加していました。参加を始めたきっかけは、大学の単位を取得するためではありましたが、実際に体験した後の達成感や満足感が忘れられず、継続的に参加するようになりました。イベント運営のサポートや、東日本大震災時のボランティア活動にも参加した経験があります。そういった経験も相まって、現在当社が推進するSGDsの取組にとても共感しています。
営業で担当しているのは、スーパーなどに並ぶ商品ではなく、ホテルやレストランなどで提供されるいわゆる業務用の商品です。業務を通じて人の役に立つことが仕事のやりがい・モチベーションに繋がっていると感じていて、相手の求めることに対して及ばなかった時は、とても落ち込み、お客様に喜んでもらう難しさを感じています。

入社した当初は、具体的に何がしたいのか漠然としていましたが、業務を通じて、皆さんにおいしいと思ってもらうコーヒーを提供したい、と強く思うようになりました。おいしいコーヒーの味を追求することに関して、意識が非常に高まりました。学生の頃は、美味しいものは当然好きでしたが、食品の味を追求するという意識は無かったので、振り返ってみると食に対する意識の変化や成長を感じています。

展示会でのコーヒー提案ブースの様子

若い世代が取組むフードシフト

これまで携わったフードシフトに関る業務や、個人の取組についてお伺いしました。

1.コーヒーを通したSDGs活動への参加

【インタビュー内容】
(藤井氏)
他部署と協力し、イベントでシルバースキン(コーヒー焙煎時に発生する珈琲豆の薄皮)入りのパンを販売する取組に参加しました。ブースづくりなどの販促だけでなく、コーヒー豆の形をしたコーヒー風味のパンを提案したり、動物パンなどの試作のサポートを行ったりしました。実際に店舗では、シルバースキンに興味を持った方々や、説明を聞いて商品を手に取ってくださる方々と触れ合うことができ、素晴らしい経験ができました。現在、このシルバースキン入りのパンは、イベントなどで販売していますが、コーヒー焙煎時の副産物の食用活用という他では行っていない大変意義深い取組であるため、将来的に直営店舗でも取り扱えるようにしたいと考えています。

イベントでのシルバースキン入りパン販売の様子
(シルバースキンは「チャフ」とも呼ばれます)

他にも、一部の店舗にて「日替わりサンドイッチ」を提供し、レギュラーメニューではどうしても残ってしまう食材をうまく利用しながら、店舗で食材を無駄なく使う工夫をしています。今では、日替わりを楽しみに来店されるお客様もいて、店舗のスタッフもメニューをより良いものに改善していこう、という良い循環が生まれています。また、日替わりサンドイッチを販売する意義に共感して買っていただけることも増えてきました。毎日の状況を踏まえてメニューを考える必要があるので、初めはかなり苦労しましたが、お客様から取組に共感する声をいただいたときは、スタッフ一同とても嬉しく、お客様のために好みに合うメニューを作りたいというモチベーションにもつながっています。

本日のサンドイッチ販売の様子(左)と、インスタグラムでの告知の様子(右)

(黒川氏)
オーガニック、レインフォレスト・アライアンス認証、コーヒー製品では当社が初めて参加しているレッドカップキャンペーンなど、SDGsに貢献できる商品のニーズが増えていると感じています。
当社の商品の一番の武器は味ですが、大手もひしめく中で、SDGsに貢献できる商品という武器は営業にとって大変有難い存在になっています。レッドカップキャンペーンは国連WFP協会が行う途上国の学校給食支援に寄付できるという取組自体も大変意義深いものであり、また学生時代からやってきたボランティア精神にマッチしたものであるため、レッドカップキャンペーンを広げて社会貢献に繋げていきたいと思っています。レッドカップキャンペーン対象商品は現在135社の採用に至っておりますが、更なる拡大に向けて、店頭にPOPを置いてもらう工夫などを凝らし、今後も営業を強化していきたいです。

レッドカップキャンペーン対象商品

2.業務を通じて変わった「食」への意識

【インタビュー内容】
(藤井氏)
現在一人暮らしをしていることもあり、自炊をする際に食材を残さないようにする努力をしています。元々、実家で残さず食べるように言われていたこともありますが、店舗で提供する側として働き始め、残されることに対して悲しいと思ったことが、意識の変化に繋がりました。提供する側になって初めて、提供までにたくさんの努力や、様々な検討を重ねられているということを知り、日常でも作る側の気持ちになって考えるようになりました。できるだけ生鮮の食材を活用したいと考え、野菜は切って冷凍する、調理して小分けにして冷凍するなど、様々な工夫を施しながら、残さずうまく食材を利用しています。

食材を残さず活用するために、野菜や調理した料理を小分けして冷凍

(黒川氏)
個人的な取組としては、買った食材は捨てずに全て使い切ることを心掛けています。入社が直接のきっかけではありませんが、社会全体としてフードロスを削減する風潮が高まっていることが自分の意識を高めたと感じています。就職して年齢を重ねるうちに、特に20代後半からはもったいないことはすべきでないという意識が高まり、自分ルールを作るようになりました。普通、美味しいものは取っておいて後でまた食べようという考えが働きがちですが、どんなに好きで美味しいものでも、できるだけ買った際に全て食べるようにしています。それも一つの自分ルールだと思っています。

レッドカップキャンペーン対象商品を抽出する様子

食や農に対する同世代へのメッセージ

今後の業務において取組みたいこと、また同世代へ伝えたいことについてお伺いしました。

藤井氏の職場での様子

【インタビュー内容】
(藤井氏)
今後やっていきたいこととしては、属人的でバラツキのある店舗運営を是正していきたいと思っています。具体的には、各地域に直営店が現在36店舗あるのですが、繁忙の度合も様々である中で責任者の意識にも違いがあります。今後は店舗運営サポートを通じて、現在生じているバラツキを少しでも標準化し、会社全体で質の高いサービスを提供できるように努めていきたいです。

就職した当時は、SDGsに距離を感じ、勉強しなければならないものだと感じていました。しかし、実際に取組むことで、小さな事の積み重ねであることを実感しました。同世代の方々に、初めはSDGsにハードルを感じても、身近な小さな積み重ねやちょっとした考え方の工夫でSDGsへの貢献が十分可能であることを伝えていきたいです。

黒川氏の職場での様子

(黒川氏)
当面の目標は、レッドカップキャンペーンを武器に、さらに当社のシェアを伸ばすことです。そして、このレッドカップキャンペーンの商品が広がることがキャンペーン自体の認知度の向上と社会貢献に繋がり、結果として商品の魅力も高まる、という相乗効果が生まれると考えています。今後も引き続き、まずはお客様に知ってもらうために、レッドカップキャンペーンの資料やPOPなどを実際に見てもらい、そのうえで当社のコーヒーをイメージしてもらえるよう工夫に努めていきたいです。

若いうちは分からないことが多く、失敗して落ち込むことも多いと思います。私も小さい失敗から大きな失敗まで様々経験してきましたが、自分の中で真摯に向き合い、乗り越えることを積み重ね、今の自分が成り立っていると感じています。様々な失敗も間違いなくその経験が生きる時がやってくるので、壁に突き当たっている若い世代がいたら、一緒に乗り越えようと呼びかけ、出来る限りのサポートをしたいと考えています。