カレーから日本の食について考えてみた!MERY開催の料理イベント潜入レポート
1月に開催された女性向けウェブサービスMERYによる料理教室「おいしく学んで、もっと日本が好きになる♡MERY流カレーアップデートレッスン」に参加しました。
1月22日の「カレーの日」を前に、みんなで一緒にチキンカレーを作って、さらにカレーに使う食材を通して見えてくる「日本の食」について考える、というのが今回のレッスンのコンセプト。カレーを作りながら、食料自給率や有機野菜のお話を聞いて、日本の食について、皆さんと一緒に考えました。
最初に、講師のお二人がご挨拶。調理指導はABCクッキングスタジオ講師の澤田さんが、日本の食についてのレクチャーは農林水産省食料安全保障室の宮長室長がご担当です。
参加者はMERYのインフルエンサーさんたち。みなさん、お料理や食べること、あるいはファッションなど、関心のテーマについていろいろな発信をされている方々。グループに分かれ今日は一緒にアップデート!
まずはベースのカレー作りにご飯から着手。今回は鍋とガスで炊きます。あらかじめ浸水した米なら10分ほどで炊けるので大幅に時短になるのだそう!米を炊いているうちに、野菜のカットをしていきます。
次は鶏肉。カレー粉とブラックペッパーでマリネした鶏もも肉を皮面から鍋に入れ、表面を焼きます。交代で炒めたりしているうち、良い香りが漂ってきて、和気あいあいとしたムード。
肉の色が変わったら、野菜やカレー粉など、他の食材も入れて炒めます。美味しそう!もう、このまま食べられそうです。
このタイミングでコンロの上でご飯が炊き上がり。こちらも美味しそうな匂いです。
カレーの鍋にコンソメと水を足して、煮込んでいきます。
カレーを通して日本の食が見える?有機野菜と食料自給率とカレーの関係
カレーを煮込む間に宮長室長によるレクチャーが始まりました。
「誰にとっても大事な『食』ですが、その背景にある農業や農村とのつながりを意識する機会がかつてより減っているのではないでしょうか。食と農との距離を近づけ、国民の皆さまに農業の重要性について考えていただくきっかけとするための情報発信が『ニッポンフードシフト』です。今回はカレーづくりを通して、日本の食料事情について考えてもらうきっかけとなればうれしいです。カレーのトッピングには、有機野菜も用意されていますので、私から、有機野菜と食料自給率についてレクチャーさせていただきます。」
有機野菜のこと、知ってる!?
スーパーでよく見る「有機野菜」でも、いったい「有機」とは何なの?
始めに、宮長室長から「このマークを見たことありますか?」と投げかけがありました。
皆さん、首を横に振っています。
さらに、「『有機』や『オーガニック』にどんなイメージを持たれていますか?」と投げかけがありました。
会場からは、「値段が高そう。」「体に良さそう。」という声が。
それらのイメージは決して間違いではないそうですが、改めて、宮長室長より、有機野菜について説明がありました。
「このマークは、『有機JASマーク』といい、一定の基準に従って生産・第三者機関によって認証された有機農産物につけられるマークです。化学肥料・化学農薬を使用しないこと、を基本として、遺伝子組換え技術を利用しないことなど、環境への負荷をできる限り低減することが基準になっています。まさに、自然の営みを活かして生産された農産物です。ちなみに、有機JASマークは左の丸が太陽を、右のピーナッツ型が雲を、真ん中の葉っぱが自然を表しています。」
皆さん、有機JASマークを見て、「へぇー」と関心の声、さらに宮長室長の説明は続きます。
「牛の排せつ物を堆肥にする、食品残さや落葉などを肥料にするなど、自然由来の有機物をできるだけ用いることで、環境への負荷を軽減する有機農業の取組を進めています。ちなみに、現在、農地全体に占める有機農業の割合は0.25%で、2050年までにその割合を25%にすることを目標としています。」
「なぜそのような目標を設定しているかというと、皆さん聞き馴染みがあるSDGsとも関係があります。」
SDGs!よくテレビでも聞いたことあります。
「SDGsとは、2015年に国連で採択された2030年までに持続可能で、よりよい世界を目指す国際目標です。日本では、2050年までに地球温暖化の原因となるCO2の排出をゼロにしようという目標を掲げています。農業生産に使用される化学肥料や化学農薬は、石油由来のものでもあり、環境への負荷をなるべく軽減できるよう、これらの使用を減らすなど、環境配慮型の農業が国際的にも求められているところです。」
会場からは、「化学肥料や農薬を使わないとどうなるの?」という声が。
「もしそれらを全く使わないと、雑草・病害虫などが発生しやすくなるなど影響もあり得るため、手間がかかる面もありますが、他方で、品種開発やスマート農業などで、労力を低減する取組も進んでいます。」
次に「有機農業とSDGs」の関係についての説明がありました。
「有機食品の購入は持続可能な食料生産の貢献につながるものであるため、先ほど、『有機食品=高い』という話もありましたが、消費者として少しでも多く目を向けていただきたいです。また、先ほど『有機食品=体に良さそう、安全なイメージ』というお話もありましたが、有機でない野菜ももちろん安全ですし、安心して食べていただけます。ただ、有機野菜の生産は、環境への負荷を軽減してくれるということを、頭の片隅に入れていただき、少しでも積極的に選んでいただけると嬉しいです。」
「また、有機食品も含めた国産食品の消費が増えると食料自給率の向上にもつながります。」
カレーからどうして日本の食が見えるのか?
日本の食料自給率が低いというのは聞いたことがありますが、どうしてなのでしょう。
「食料自給率は、1965年にはカロリーベースで73%でしたが、現在は38%です。その要因は、食生活の変化によって、自給率の高い米の消費量が減少し、自給率の低い肉類や食用油の消費が増えたことが要因です。牛や豚などのエサ(飼料)や、油の原料になる大豆、菜種は、多くを輸入しているので、自給率が低くなります。」
ここで、「なぜカレーから日本の食がありかた」がわかるのか、この日に、公開された動画を視聴しました。
今や国民食といわれる身近なカレーは、国産食材だけではまかなえない。それが日本の食のありかたをよく表しているということに、「そうだよね」とうなずいてしまいます。
今回のイベントのカレーづくり、奥が深い!
輸入に頼りすぎて困ることって?
でも、そもそも、なぜ食料を国内で作らなければならないの?
宮長室長の説明は続きます。
「世界の人口が、昨年秋に80億人を超えました。このように世界的な食料需要が増加しています。さらに、地球温暖化などによる気候変動によって、今まで収穫できていた地域で、農産物の収穫が難しくなることや、政情不安によって農産物の輸出が停滞してしまうことも起きています。そうした輸入に関する不安定なリスクを避けるために、国内で生産できるものはできるだけ国内で生産していくことが重要です。」
「そのために、例えば、麦や大豆、家畜のエサ(飼料)の国内での生産拡大や米粉の利用拡大などに取り組むことが重要です。」
米粉、最近よく聞きます!ほぼ自給できている米から作った米粉を利用することは、食料自給率の向上に貢献するんですね。他に、私たち一人ひとりができることって?
最後に宮長室長から、
「いま手にとろうとしてる食材、これから食べようとする食事から、自分自身の『食』、そして日本の『食』の未来について考えてもらえたら嬉しいです。」
との投げかけがあり、レクチャーは終了しました。
カレーができた!テーマを決めたトッピングでいただきます!
まさに食卓につながる大事なお話を聞いている間に、カレーが完成!室内にいい香りが漂います。
煮込んだカレーは、スパイスの香りが立っていて、食欲を刺激されます!
盛り付けた後は、トッピングタイム。有機野菜を中心にさまざまなトッピングアイテムを、グループごとに決めたテーマに沿って盛り付けていきます。
みなさん、盛り付け上手。納豆や茹でたレンコンなど、普段はあまりカレーに入れないアイテムも、積極的にトッピング。
いただきます。
トッピングで自給率が変わる!?
食べた後は、食料自給率が計算できるサイトを使って、食べたカレーの自給率を計算します。
これで、自給率がどのくらいか計算できるのです。
そして、それぞれのグループの代表者がトッピングのテーマと自給率を発表。
「野菜たっぷりカレー」や「欲張りカレー」など、いろいろテーマのもと、トッピングされたカレーは自給率50%以上のグループが多数。野菜をたくさんトッピングすると自給率が上がることがわかりました。ちょっとした工夫で自給率が変わるのは興味深いです。
楽しく美味しく学んだ時間はあっという間。名残惜しいレッスンの最後に、宮長室長から全員に修了書の授与がありました。
参加者からは「環境に配慮されて作られている有機野菜をもっと使ってみたい」、「自給率についてここまで深く考えたことがなかったから、今後は気にしてみる!」といった声が聞かれました。
イベント当日の様子は、MERY公式Instagramにも投稿されているので是非チェックしてみてください。
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