マガジンのカバー画像

NFS通信

62
食や農の現場で見つけた、様々な情報を紹介します。
運営しているクリエイター

2023年8月の記事一覧

株式会社イノP(熊本県宇城市・戸馳島)

今週は熊本に。宇城市三角の戸馳島(とばせじま)にある株式会社イノPを取材してきました。 社名のイノPはイノシシプロジェクトの意味です。熊本の若手農家130人で組織される任意団体「くまもと☆農家ハンター」の活動が発展し、設立された会社です。 くまもと☆農家ハンターは「地域と畑は自分たちで守る!」を合言葉に農作物に被害を及ぼすイノシシ等の鳥獣からの防護、捕獲、止め刺し(電気などでとどめを刺す)までを農家自ら行う全国的にも珍しい団体です。 現在、イノシシや鹿など野生鳥獣による

ちいさなスプーンからつくる、にぎやかな未来。食べられるスプーン「PACOON(パクーン)」とは?

SDGsを身近なところから実践したいけれど… そんな想いにぴったりのアイテムが、食べられるスプーン「PACOON(以下、パクーン)」です。国産野菜パウダー入りのクッキーでできたスプーンは、食育、環境保護、地域のパートナーシップなど、SDGsのさまざまな目標を達成しています。 この商品を開発したのは、愛知県刈谷市に本社を置く株式会社 勤労食。もともと長年、地域の企業や学校向けに食堂運営を担ってきた会社です。代表取締役副社長の濱崎佳寿子さんに、パクーンの魅力や開発の経緯をお聞き

山口県を代表するブランド豚。安全で美味しい鹿野高原豚を多くの人に届けたい。

有限会社 鹿野ファーム 代表取締役社長 隅 明憲さん 1960(昭和35)年、山口市生まれ。東京経済大学経済学部卒業。東京の不動産会社に2年間勤めた後、鹿野ファームのグループ会社を経て、1992(平成4)年に鹿野ファーム取締役に就任。2009(平成21)年に経営を引き継ぎ、代表取締役社長に就任。2014(平成26)年、新たにハム工場・総菜工場を建設。2019(平成31)年、畜産クラスター事業で事業規模拡大。付加価値の高い養豚を目指して、豚の繁殖・肥育から加工・販売まで一貫し

美味しいだけじゃない。22世紀の「食」を見据えた大人気チーズケーキの秘密

金曜と土曜の夜にだけ買える、特別なチーズケーキがある。 「CHEESE WONDER」。なめらかな生チーズスフレと生チーズムースの2層構造が特徴で、口にいれた瞬間、濃厚さと軽やかさが同時に広がる。 オンラインで販売され、即完売。累計の販売数は、これまでの2年半で120万個を突破した。北海道に拠点を構える株式会社ユートピアアグリカルチャーが生んだヒット商品だ。 美味しさの鍵を握るのは、原料に使われる「放牧牛乳」。自社の牧場で放牧された牛からとったものだ。 放牧牛乳は、一

具志堅 興児/具志堅農園

先祖が残した土地のある国頭村を昔のような農村に戻したい!元カメラマンの挑戦が周囲に広がる ■プロフィール  那覇出身。東京の映像関連専門学校を卒業後、沖縄に戻って写真スタジオへ就職。旅行誌や飲食店、商品写真の撮影などを担当後、フリーカメラマンとして独立。  フィルムからデジタルカメラに移行する過渡期だったこともあってリゾート関連企業に転職した後は、広報部で収穫体験などの体験型プログラムなどを企画するなかで、沖縄各地の農家と交流する機会が増えた。  そのころ、曽祖父が

豊かな恵みを未来につなげる、海のSDGs。 海底の森、藻場を守る漁師たち。

海底の森、藻場を守る漁師たち。「若狭高浜ブループロジェクト(WTBP)」藻場(もば)って聞いたことありますか?藻場とは、海底を覆う海藻の森のこと。アワビやサザエなど貝類の餌場であり、魚の産卵や稚魚の育つ場としての役割もある、水生生物の生活に不可欠な森です。 さらに、藻場は、栄養塩類や炭酸ガスを吸収して酸素を供給するなど海水の浄化にも大きく貢献しています。陸地でも森の木々が空気をきれいにしてくれていますよね。それと同じです。 けれど、いま、その藻場に大問題が発生。海藻を食

未来へ”酪農”を残すために。高秀牧場の循環型酪農とは。

 北海道のような広大な景色が広がるのは、千葉県いすみ市にある高秀牧場。今回は、高秀牧場の馬上温香(まがみ・はるか)さんを取材させていただいた。 高秀牧場は、酪農だけでなく、チーズの製造やジェラートの製造、菓子の製造なども行っている。さらにカフェも併設しており、牛を見ながらジェラートをいただくこともできる施設だ。 そんな高秀牧場のホームページを拝見すると”循環型酪農”と言う文字が目立つ。 循環型酪農とは一体どんな酪農なのか、馬上さんにたずねてみた。 書き手:岡優成 牛は

「農業は土だ」とよく聞くけれど、これほどにそれを体現している農家を私はまだ知らない。 <有機農家・田中栄三さん訪問記>

まって、畑綺麗すぎ。 岩手県岩手町で有機農業を営む田中栄三(たなか・えいぞう)さんの畑を友人の紹介で訪れた時、真っ先にこの言葉がでた。 白い蝶がまっていて、まっすぐに整列した畝(うね:畑で作物を作るために、細長く直線状に土を盛り上げた所)は、その畝ごとに姿が異なり、無数の野菜やハーブがいきいきと育っている。 「みんなして何種類あるかって聞くんだけど、数えられないんだ」 そう笑顔で話を始めてくれた栄三さんは、すぐに買い手がついてしまう美味しい野菜やハーブ、苗を育てる知る