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NFS通信

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食や農の現場で見つけた、様々な情報を紹介します。
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記事一覧

欲しい暮らしは自分でつくる。25歳農家の根っこにあるパンクの精神

「わたし、パンクロックが好きなんです」 「パンクって、社会に対するモヤモヤした気持ち、反骨心を地下から叫ぶ音楽だと思うんです。 学生時代に『農業をやりたい』と語ると、ほとんどが否定されたり、違う道を勧められた。農業をやりたい気持ちを否定されることにモヤモヤしたのは、いつも心の中で『農業はかっこいい仕事なんだ。それに憧れて何が悪い』という反骨心があった気がします。 周りから否定されても、自分が思う農業のスタイルで、農業がかっこいい仕事だということを社会で表現していきたい。

「普通の年になりますように」豪雨被害を受けた秋田の農家の願い、原点とつながり続ける記者の活動

こんにちは、青森支局の赤羽柚美です。私は昨年7月の秋田県での豪雨被害で知り合いの農家を取材し、以下の記事を書きました。 ただ、この記事では、私が農家の佐々木義実さんを豪雨被害の前から知っていたことには触れず、佐々木さんが米作りにかける情熱を伝えきることができなかったのではないかという思いが残りました。 なぜ佐々木さんが山あいの田んぼを続けてきたのか。 どうして青森の記者である私が佐々木さんを取り上げたのか。 今回は、記事を書いた理由をストレートに伝える大阪支社noteと

#50 畑をやめるつもりだった父。受け継ぐ4代目の想いは、「たくさんの“欲しい”の声に応えたい」

濱津農園 濱津和也さん 阿武隈川と谷田川の2つの河川に挟まれた郡山市東部の田村町金屋地区。冬、ここで農業を営む濱津和也さんの畑では、郡山ブランド野菜の「御前人参」や「紅御前」がいきいきとした緑の葉を伸ばします。「ここは砂地なので人参がまっすぐ育ちやすいんです」とい言いながら、きれいに伸びた抜きたての人参を見せてくれました。 この地に生まれ育った濱津さんが農業の道に入ったのは2021年4月のこと。大学進学後は東京で生活していましたが、一つの想いをきっかけに郡山へ戻ってきまし

ワインとは無縁の高山村に移住。ブドウの栽培から醸造までを行うワイナリーオープンの夢を追う|先輩移住者file.8

先輩移住者ドキュメントfile.8 西角麻美子さん 生まれ:東京都立川市 移住タイプ:Iターン 以前の住まい:埼玉県さいたま市 移住時期:2021年12月(現在3年目) 家族構成:4人(夫、子供2人)。子供は2人とも独立。 仕事:地域おこし協力隊制度を利用し、群馬県高山村でワイナリーオープンに向け準備中。 子育てが終わり、ワイナリーオープンの夢を抱く 都会に住み結婚し、子供二人が生まれてから、毎日忙しく過ごしていました。夫は会社員、私は看護師として働いており、仕

高校生の頃に感じた“ある危機感”がUターン就農のきっかけに。トマトを極めて地元に貢献 ー 長野県下伊那郡根羽村のまち自慢

根羽拠点(長野県下伊那郡根羽村)で教育事業に携わっている上村です。 長野県の最南部にある根羽村は、人口約850人の小さな村です。 今回は、根羽村でトマト農園を営む小林 智雄(こばやし ともお)さんに取材をしました。 根羽村出身の小林さんが、なぜトマト農園を始めたのか、今に至るまでにどのような苦労があったのか、そして今後の夢は・・? 取材を通して分かった、小林さんの熱い思いをご紹介したいと思います! トマト農園を始めたきっかけとは?中学生までは根羽村に住んでいましたが、高校

Hiroshima FOOD BATON 令和5年度成果報告会

2024年3月22日、広島市中心部の地下街・紙屋町シャレオ内のコミュニティスペース「紙屋町スウィング」で、「広島県農林水産局販売・連携推進課」が主催する食のイノベーション推進事業「Hiroshima FOOD BATON」令和5年度の成果報告会が行われた。 Hiroshima FOOD BATONは県内生産者の「稼ぐ力」を高めるため新たなビジネスモデルの創出を目指すプログラムで、採択者には3年間を最長に年間最大300万円の補助金が与えられる。会場では令和5年度に採択された事

ブラッシュアップ農村ライフ~「Rev0」「KURU KURU」とFOOD BATONの共創

今年2年目を迎える「Hiroshima FOOD BATON」。食に関するイノベーションを進め、広島の農業経営体の稼ぐ力を向上させていこうとするこの取り組みは今回も3チームを採択した。チャレンジャーたちは活動の中で事務局とどんなやりとりを行い、どんな支援を得ているのだろう? プロジェクトの過程で起こっている化学変化について、今年度採択の「Rev0」と「KURU KURU」に話を聞いた。 温室効果ガスの削減で 農家の収入を向上させる 令和5年度のHiroshima FOOD

誰もが農業の味方! 地域と人と農をつなぐコミュニティ『ミヨシのミカタ』【RING HIROSHIMA】

最近では、スーパーや産直市などに並ぶ農作物のパッケージに、生産者名や農場名が添えられていることが増えてきました。作り手の存在をより身近に感じられて、購入のきっかけになっていることも多いのではないでしょうか。 一方で現実問題として、農業の担い手不足が長らく叫ばれていることもまた事実。それはもちろん、ここ広島県においても重要な課題の一つです。 「そうした“農”に関わる現状に、新たな提案を!」と立ち上がったのが、今回のチャレンジャーです。 CHALLENGER 『農でつながる

この命は環境を守る側に使いたい。 『地元産飼料75%!』自給自足農家の、愛情たっぷりこだわり卵に迫る!【後編】

茨城県石岡市で養鶏場を営んでいる田中啓之(たなか・ひろゆき)さん。 全てDIYで自宅と養鶏場を建設し、たくさんのこだわりと愛情で美味しい卵を育てています! 前編では、循環型農業や地産地消にもトコトンこだわり、餌はなんと75%が地元産飼料を使っているなど、卵へのこだわりを沢山お伺いしてきました! 【前編】はこちら。 今回の後編では、田中さんのこれからの夢についてなどなどお聞きしていきます! <書き手:まゆ> 1.この命は環境を守る側に使いたい人生って一回だけでしょ?人間って

鶏への大きな愛。『地元産飼料75%!』自給自足農家の、愛情たっぷりこだわり卵に迫る!【前編】

茨城県石岡市で養鶏場を営んでいる田中啓之(たなか・ひろゆき)さん。 全てDIYで自宅と養鶏場を建設し、たくさんのこだわりと愛情で美味しい卵を育てています! 循環型農業や地産地消にもトコトンこだわり、餌はなんと75%が地元産飼料を使っているとのこと……! 今回はそんな田中さんに、卵へのこだわりを沢山おうかがいしてきました! 【後編】はこちら! <書き手:まゆ> 1.こだわりがたっぷり詰まった美味しい卵全てこだわってはいるんだけど、まずは環境負荷のない生活っていうのが1番。

株式会社イノP(熊本県宇城市・戸馳島)

今週は熊本に。宇城市三角の戸馳島(とばせじま)にある株式会社イノPを取材してきました。 社名のイノPはイノシシプロジェクトの意味です。熊本の若手農家130人で組織される任意団体「くまもと☆農家ハンター」の活動が発展し、設立された会社です。 くまもと☆農家ハンターは「地域と畑は自分たちで守る!」を合言葉に農作物に被害を及ぼすイノシシ等の鳥獣からの防護、捕獲、止め刺し(電気などでとどめを刺す)までを農家自ら行う全国的にも珍しい団体です。 現在、イノシシや鹿など野生鳥獣による

好きなことと暮らすために、半農半フォトグラファーという働き方を選んだ。 / 小分坂剛さん

今回の記事では、農家×フォトグラファーという働き方をしている小分坂剛(こぶんざか・つよし)さんにお話をうかがった。 書き手:岡優成 元々は、今の「半農半フォトグラファー」という働き方とは全然違う、土木関係の仕事をしていたという。なぜ、今の働き方のスタイルになったのだろうか。 「趣味に使う時間が全くなかったんですよね」と話す小分坂さん。前職はとても忙しく、週6日から7日も働く週もあったという。家に帰っても疲れて寝るだけの生活だったそう。 自分のために使う時間もどんどん減

つながりの芽も育てる畑-人と出会える農作業体験「畑のオープンキャンパス」-

「畑のオープンキャンパス」とは今回は東京都三鷹で「畑のオープンキャンパス」というイベントを開催している冨澤ファームさんについてご紹介します。 「畑のオープンキャンパス」では東京の三鷹にある畑に、農業に興味のある人たちが月1で集まって農業を体験したり、作業後に一緒にご飯を食べながらコミュニケーションを取ったりしています。 私も実際に「畑のオープンキャンパス」に参加し、冨澤剛(とみざわ・たけし)さんにお話をうかがってきました。 書き手:まりあ 今回の「畑のオープンキャンパ

ちいさなスプーンからつくる、にぎやかな未来。食べられるスプーン「PACOON(パクーン)」とは?

SDGsを身近なところから実践したいけれど… そんな想いにぴったりのアイテムが、食べられるスプーン「PACOON(以下、パクーン)」です。国産野菜パウダー入りのクッキーでできたスプーンは、食育、環境保護、地域のパートナーシップなど、SDGsのさまざまな目標を達成しています。 この商品を開発したのは、愛知県刈谷市に本社を置く株式会社 勤労食。もともと長年、地域の企業や学校向けに食堂運営を担ってきた会社です。代表取締役副社長の濱崎佳寿子さんに、パクーンの魅力や開発の経緯をお聞き